TKAのリハビリで大事なこと。デザインの種類と特徴をまとめてみた

 

ブログへの訪問ありがとうございます。

 

 

TKAは臨床でもよく遭遇する疾患の1つではないでしょうか?

 

 

TKAのリハビリを行うにあたり、機種デザインの特性を理解しておくことは、Drだけでなくセラピストも大事になります。

 

 

今回はTKAを行う際に主に用いられているデザインの特性について書いていきます。

 

正常膝関節とTKAの動きの違い

TKAの機種デザインは様々なものがあり、そのどれもが正常な膝関節の動きを「再現できるように」デザインされています。

 

 

「再現できるように」と書いたのは理由があって、正常な膝関節と人工膝関節とは本質的な機構が異なります。

 

 

正常な膝関節は

骨・関節軟骨・半月板・靭帯・関節包そして筋腱複合体などの関節構成体が複雑に協調することで、大きな可動性と安定性という相反する機能が達成される。

井野拓美、山中正紀:特集 人工関節置換術と理学療法 人工関節のバイオメカニクスー人口膝関節を中心にー:第33巻 第11号:P971,2016

 

一方、人工膝関節においては

通常ACLや半月板が切除され、PCLも切除されて代償機構に置換されているか、あるいは温存されたとしてもその機能が変化していることが多い。また、術前の長期の罹患期間において内外側側副靭帯を中心とする内外側支持機構に拘縮またはゆるみが生じており、術後においてもこのバランスが失われていることが多い。

井野拓実、山中正紀:特集 人工関節置換術と理学療法 人工関節のバイオメカニクスー人口膝関節を中心にー:第33巻 第11号:P971,2016

以上のような違いがみられます。このような違いを考慮にいれることで、ROMのやり方1つとっても意識するところは変わってくるでしょう。

 

TKAの機能デザインと機械特性

現在TKAは様々なタイプのものがあります。

 

 

TKAの制御する最も大きな要素として、関節面のデザインに頼らざるを得ません。

 

 

以下に、よく用いられる3つのタイプを紹介していきます。大きな違いとしては、PCLを温存しているか切除しているかの違いになります(基本的にACLは切除します)。

 

CR型

PCL温存型です。

 

 

PCLを温存する利点として

  1. 骨・インプラント間のストレス軽減による長期成績の向上
  2. ロールバックの再現
  3. 関節の固有位置覚の温存
  4. 膝伸展時の大腿四頭筋のレバーアームの延長

 

があります。

 

PS型

PCLを切除します。

 

PCLを切除し脛骨上の突起(post)が大腿骨側のcamに入ることにより関節の安定性と人工的なロールバックを誘発する機種デザインであり、これをポストカム機構といいます。

 

 

PS型のデメリットとして

  1. 大腿骨側からの荷重はポストカム機構を通じてそのまま脛骨へ伝達されるため、ポストカム機構のポリエチレン摩耗は骨・インプラント間の剪断応力は増大する傾向にある
  2. ポストカム機構が作動するのは膝屈曲約60°以上のため、それ以下の屈曲角度域ではPCL代償機能が発現されない特徴がある
  3. 非荷重下において脛骨の前後移動量がCR型よりも大きい

 

があります。

 

CS型

PCLを切除します。

 

 

ポストカム機構を有さず、脛骨インサートが深い皿状で、前方リップが高くなっているのが特徴です。

 

 

関節面形状の高い適合性によりPCL機能を代償するデザイン設計となっています。

 

TKAに関するあれこれ

TKAに関しては様々な論文で議論などされています。

 

  • シェアに関してはPS型が60%、CR型が30%、CS型が10%程度
  • 可動域(屈曲)についてはPS型>CR型>CS型
  • PS型でポストカム機構の破損や摩耗例の報告も散見される。特に回旋ストレスに対する対策が重要
  • TKAはACL不全の状態であり、PCL温存により正常運動が再現される事は期待できない
  • 多くのPCL温存膝が不規則な異常運動を示す
  • PS型ではポストカム機構により再現性の良い運動パターンが得られている

 

以上のようなことなどを踏まえ、Drに使用している型を確認していくとよいでしょう。

 

まとめ

それぞれの機種の特性を知ることで色々と考えることができます。

 

 

例えば

PS型を選択している場合

  • 固有位置覚が低下しているかも
  • ポリエチレン摩耗やルーズニングに注意していこう

 

 

CR型を選択している場合

  • PCLを温存しているため、PCLの耐久性を考慮にいれていこう
  • 固有位置覚は温存されやすいといわれているが、確認のため位置覚を評価しておこう

 

 

TKAはACL不全膝と同じような状態です。

 

 

どの機種でもそうですが、最終的には長期成績を保証していかないといけません。

 

 

リハビリをする際は、身体機能面だけの視点に限らず、TKAの機種デザインと特性を学習し、アプローチに活かしていきましょう。

 

【参考・引用】

井野拓実、山中正紀:特集 人工関節置換術と理学療法 人工関節のバイオメカニクスー人口膝関節を中心にー:第33巻 第11号:P971,2016

人工関節センター|医療法人横浜博萌会 西横浜国際総合病院

広島リハビリ勉強会|intake&Output TKAの種類と特徴まとめ

石井慎一郎先生 講義資料

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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ABOUTこの記事をかいた人

大川雅史

当ブログへお越しいただきありがとうございます。総合病院勤務の理学療法士。「健康で元気な生活をサポートする」がモットー。一般の方、セラピスト向けに理学療法士としての知識を中心にアウトプットしていきます。